心の理論と発達障害
心の理論
○心の理論とは
他者の心の状態についての仮説のこと。誰でも「他人は今こう考えているんだろうな」という仮説を持っていますが、これを心の理論といいます。 心の理論は、発達障害を理解する際に重要なキーワードになります。自閉症などの発達障害では、心の理論が障害されている、といわれています。つまり他人の立ち場に立って考えることができないということです。
○心の理論はどう獲得されていくか
一次的信念の理解 4歳ごろから
「Aさん(アンさん)は誤ってある物が無い場所にある、と信じている」ということの理解。これだけではわからないと思うのでサリーとアン課題というものを紹介します。 サリーとアン課題とは、一時的信念の理解ができるかどうかを調べるための課題です。 サリーはチョコレートを箱Aにおいて出かけます。⇒そしてアンは、サリーがいない間にチョコレートを箱Bに隠します。⇒さてサリーが帰ってきたときどこを探すでしょう。 という問題が出されます。 当然ふつうは、箱Aを探すと答えます。正解できれば一時的信念が理解できているとみなされるわけですが、発達障害の傾向としては、この課題を解くことに困難を示します。 つまりサリーの立場に立てず、自分の立場で考える(Bにあることを自分は知っているのでサリーも知っていると考える)わけです。
二次的信念の理解 10歳位~
「Aさんは物が間違った場所にあると、Cさんが誤って思い込んでいる」という理解。ジョンとメアリーが二次的信念の理解を知らべる課題として出されることがあります。 ジョンとメアリーの課題 メアリーがアイスの金を取りに帰る、アイス屋が教会に行くことをジョンは知る。メアリーもアイス屋に協会に行くことを知る。ジョンはメアリーの家に行き出かけていたので探しにいく。ジョンはどこに探しに行ったでしょうか? という問題が出されて、正解すれば二次的信念が理解できているということになります。 二次的信念の理解の意味・・・二次的信念の理解は他者から見た自分を知る、ということであり⇒自意識につながるのではないかと考えられます。
○心の理論の習得説
生得説・シミュレーション説・経験説など
○共同注意(三項関係理解の証拠)から心の理論へ
・共同注意=ジョイントアテンションとは、母親の視線を追って母親の見ているものに注意を一緒に向ける、というような現象です。 ・共同注意=ジョイントアテンションは、母親に共感してほしいという欲求の表れで、同じものを見ることで他者とつながりたい、という欲求が生まれてきたり、逆につながりたい欲求から共同注意をするようになるといわれています。 母親の視線を追いかけて一緒に同じものに注意を向け(共同注意)、母親は何に関心をもっているのだろうと考えるようになれば、「自分と母親が違うものに関心を持っているんだ」、と考えるようになり次第に「この人はこんなことを考えているんだ」という心の理論の獲得につながっていきます。 子供は初め、「自分ともの」、「自分と母親」というような関係(二項関係)しか理解できません。それが成長するにつれて、「自分と母親と物」、というような三項関係を理解できるようになります。
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