ブリーフセラピーという心理療法について書こうと思いますが、どこの心理系大学院に行きたいかによって、あまり勉強する必要はないかもしれません。もしブリーフセラピーを専門にしている先生が大学院にいないならば、ブリーフセラピーがどういうものかを簡単に説明できるくらいの基本的な知識を覚えるだけでいいと思います。
短期療法:ブリーフセラピーとは
源流はミルトンエリクソンやグレゴリーベイトソン。
元々家族療法の研究をしていたMRI(メンタルリサーチインスティテュート)を中心に発展した心理療法。短期療法の代表的なアプローチである解決志向アプローチ:SAFを紹介します。
解決志向アプローチ:SFA
インスー・キム・バーグとスティーブ・ド・シェイザー(夫婦)が設立したBFTCでは解決志向アプローチ(SFA)が開発され、MRI的ブリーフセラピーに代わり勢力をつけている。
○解決志向アプローチ:SFAの課題設定
解決志向アプローチ:SFAでは課題の設定が重視される。
課題は、解決に焦点を当てて設定される(CBTのようにセラピストが与えるのではない)
課題は、例外(問題が起こらないとき)や患者の過去に行った問題解決に基づいて設定される。
○課題設定のための質問法
スケーリングクエスチョン・コーピングミラクルクエスチョン・ミラクルクエスチョンなどの質問法を用いて明確に課題設定を行う(well-fomed goal=よく練られた目標を重視)
・ミラクルクエスチョン・・目標や課題設定(患者が自分で目標を立てれないとき)
・コーピングクエスチョン・・目標や課題設定
・スケーリングクエスチョン・・明確な目標設定課題設定
⇒このような課題は、馴染みがあり抵抗が減るというメリットがある。
○SFAにおけるコーピングクエスチョン
コーピングとは患者が過去(or現在)に行ってきた問題への対処行動のことで、コーピングクエスチョンとは、
そのコーピングを聞き出すことである。
例えば
「これまで、どのように問題や症状を対処してきたのですか?」
「どうやって問題を悪化させずにしてこられたのですか?」
聞き出したコーピングは、上述のように、課題設定に用いられるが、それだけではなく、
コーピングクエスチョンで得た情報はもっとするよう奨励される(do more)。
○SFAにおけるミラクルクエスチョン
患者が自分で目標や課題を立てれないとき、目標や課題設定をするために用いられる質問法
「明日朝起きて奇跡的にすべてのことがよくなっていたとしたら、どんな感じですか」など
⇒ミラクルクエスチョンで得た情報をもとに目標や課題を設定する。
○SFAにおけるスケーリングクエスチョン
明確な目標設定や課題設定のために用いられる質問法。
「もっと気分や症状が良くなるといいです」と漠然と目標をいう患者に対して、より具体的な目標を設定するため
今の状態を数字でスケーリング(得点化)して、目標となる点数を決める。
○SFAにおける解決に焦点を当てたソリューションクエスチョン
SFAで用いられるソリューションクエスチョンとは、問題の原因やトラウマなどを探すのではなく、
解決に焦点を当てた質問法である(次に説明するコーピングクエスチョンを含む)。
ソリューションクエスチョン←→プロブレムクエスチョン
○Do more
例外や過去の解決をもっとするように奨励するアプローチのこと。
○スケーリングクエスチョン
解決に焦点を当てた評価法でそれ自体が強力な介入法である点でアセスメントとは異なる
スケールがあがればクライエントをコンプリメントし、質問でさらに情報を得る。
スケールがあがっていなくてもどうやって悪化させずにしているかを尋ねる(coping)。
○解決志向アプローチ:SFAの基本的哲学
・患者の回復力を前提にしている(≒ロジャーズ)
・患者は適応的な行動をすでにもっている ⇔ 行動療法(問題や症状を学習不足と考える)
ex.リソース、過去の成功例、例外を利用
○コーチングなどに応用
トレイニング=トレイナーが決めた目標を達成する
⇔コーチング=クライエント自身が目標を主体的に決定する
○NLP(神経言語プログラミング)
グリンダーとバンドラーを中心に開発された心理療法。
MRIで開発されたわけではないが、エリクソンやベイトソンの流れを組む。エリクソンの催眠、パールズ.F.、サティアの影響を受けている。
現在はセラピーだけでなく、自己啓発、コーチング、プレゼンテーションなど多くの分野で活用されている。