質問紙調査
質問紙調査法 とは
質問紙調査法とは、ご存知の通り、質問項目を書いた用紙を配布して回答してもらう方法。
質問紙調査の利点は、比較的簡単に実施できること、大人数に実施可能であること、信頼性と妥当性が高い
(既存の質問紙の場合)、侵襲性が低い(負担が少ないということ)、回答条件を統制できること、
があげられる。
質問紙調査の欠点は、回答者の意識していることしか測定できない、虚偽反応や社会的望ましさに影響
されて回答が歪められてしまうこと、回答者の言語能力に依存すること、があげられる。
質問項目の種類
質問紙には、さまざま形式の質問項目が用いられるが代表的なものは以下の通りである。
1,多肢選択式・・・複数の選択肢を提示して、選択肢からあてはまるものを選択させる形式の質問紙。
2,二択式・・・ある質問に対して、あてはまるときには○(はい)、当てはまらないときには×(いいえ)などをつけて
もらう形式の質問紙。
パーソナリティ、態度、興味などを測定する検査でよく用いられる。
3,評定尺度法・・・ある質問に対し、どの程度自分にあてはまるかを段階評定させる形式の質問紙。
調査などで頻繁に用いられ、統計的処理がしやすいという利点がある。
4,自由記述式・・・質問と解答欄を提示し、質問に対する回答を自由に回答を記入される形式の質問紙。
多様な情報が集められるため示唆に富む知見が得られる可能性があるが、回答の整理が難しく回答者の負担も大きい。
5,SD法・・・あるものについての印象などを測定するために、冷たい-熱いなどの形容詞対を用意して、
どちらに近いかを評定させる形式の質問紙。
6,チェックリスト・・・形容詞や事物を複数並べ、あてはまるものをいくつでも選ばせる形式の質問紙。
評定尺度法
心理学調査でもっとも一般的とも言えるのが、評定尺度法です。
評定尺度法では、「あなたは気分が沈むことがよくありますか?」「よくイライラする方ですか」などの質問に
1~7点で最も当てはまるものに丸をしてください、と答えてもらうような方法です。
この評定尺度法の場合は1~7点なので6件法と呼ばれる。
評定尺度法の問題
1、等間隔性の問題
等間隔性とは、先の例では1~7点が等間隔であるかどうか、ということです。
なぜ等間隔性が重要かというと、その質問紙が間隔尺度であるのか順序尺度なのか、という尺度水準が
変わってくるからです。通常は、○件法などの質問紙は間隔の等しい間隔尺度という扱いをします。
しかし、「本当に1点と2点の間隔と4点と5点の間隔が同じなのか」と突っ込まれれば疑問が残ります。
ある研究では、「あてはまる」「まったく当てはまらない」などの表現によって間隔が変わってしまうことが示されています。
わかりやすい例を出すと、
「非常にあてはまる」「当てはまる」「どちらでもない」「あまり当てはまらない」「当てはまらない」
この5件法の評定尺度法の場合、明らかに等間隔ではなく、「あまり当てはまらない」と「当てはまらない」との間隔
が「非常に当てはまる」と「当てはまる」との間隔と比べて狭い印象ですよね。
また表現がきつくない「当てはまらない」の方に回答が歪みそうな感じがします。
2、妥当性と信頼性
これは有名な問題点です。
妥当性とは「測りたいものを測っているのか」ということです。
例えば、「心理学への関心度」を測定したいのに、「あなたはよくTVを見ますか」という質問項目を作っても
測りたいものを測っているとはいえないですね。つまり妥当性が低いということです。
信頼性とは「何回行っても同じような結果が得られるか」ということです。
例えば、「心理学への関心度」を測定したいときに、「あなたは心理学が好きですか」という質問項目であれば、
妥当性はありそうです。
しかし、大学生に調査をして、次の日に同じ質問紙を行ったらまったく異なった結果になった、となれば
信頼性が低いということになります。
体温を測る尺度である体温計が、何回測っても体温が異なっていれば信頼性がない体温計です。