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2013年5月 9日 (木)

認知的評価理論

認知的評価理論とは

認知的評価理論とは、「認知的評価が感情の生起に先行する」という理論の総称である。
・・・・ということは逆に「感情が生じてから怖いと感じる」というような立場もあるということですね。
ザイアンスが代表的な立場ですが、ここでは認知的評価理論と逆の立場の説明は控えます。 。

具体的には、認知的評価理論とはどういうことでしょうか。
例えば、地震が起こったときに、すべての人が恐怖を抱くわけではありません。

ある人は大した揺れじゃない、と考え
ある人は家が崩れて人が死ぬかも知れない
、と考えます。
つまり、地震が起きてすぐに恐怖が生じるのではなく、地震をどのように認知的に評価するかによって
恐怖が生じるか生じないのか、またはどのような感情が生じるかが変わるという考えです。

まとめれば認知的評価が感情の生起に先行するという考えです。

認知的評価理論の先駆的研究者はアーノルドで、その後ラザルスは認知的評価(個別的評価と中心関係テーマ)を2つに分けています。個別的評価はさらに一次的評価と二次的評価に分けられます。

ラザルスの認知的評価理論

ラザルスは認知的評価理論はよく知られています。 認知的評価理論はさらに個別的評価と中心的関係テーマという2つの評価にわけることができます。
さらに個別的評価は一次的評価と二次的評価に分けられている。

一次的評価・・事象(ストレスイベント)が有意味かどうか。有意味ならば有害かどうか、という評価。
二次的評価・・一次的評価の後、その事象に対処できるかどうか、という評価。

例えば、
遅刻しそうなときに話しかけられる⇒自分にとってマイナスだ(一次的評価)

先輩なので話を無視してその場をされない⇒うまくやりすごせない(二次的評価)

ストレスは、自分にとって脅威的で対処もできないと評価されたときに、感じるわけです。

ラザルスの認知的評価理論では、特定の認知的評価で特定の感情が生起する
と考えることが特徴の1つである。

ステップアップ-認知的評価詳細

ここでは個別的要素が複数重なっているが、この結びつきを中心関係テーマという。
中心関係テーマとは、「特定の感情それぞれの根底にあるもので、中心的関係テーマがどのようなものかによって異なったの感情が生起する」
例えば、

怒りの中心的関係テーマは「私と私のものを貶める攻撃」

悲しみの中心的関係テーマは「取り返しのつかない喪失」  である。

また認知的評価は人によって傾向があり、認知的スタイルといわれる。
例えば、認知的スタイルの中でも原因帰属スタイルは動機付けなどの分野で研究されている認知的スタイル
である。
(ex成功したのは私の努力と帰属⇒やる気がでる)

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学習心理学・認知行動療法」カテゴリの記事

コメント

質問させて頂きたいのですが、ラザルスの心理学的ストレス理論は、心理的ストレスに焦点を当てているので、例えば本人の認知に上らない身体症状がストレス評価に影響を与えていると客観的に考えられても、ストレスにならないのですね?
また、先行要件の個人的要因が漠然としているのですが、年齢・仕事・既往歴なども先行要件に含まれますか?

ご質問ありがとうございます。

○1つ目のご質問に関して
的を得た質問だと思います。

確認なのですが「ストレス評価に影響」というのは、ストレス反応に影響するのかということでしょうか?

ラザルスの認知的評価理論は、「出来事が直接ストレス反応を
起こすのではなく、認知が介在することによって
ストレス反応が変わったり増減したりしますよ」という理論
として理解しています。
なので認知的評価を介さないからといってストレス反応が生じない
ということを積極的に主張しているわけではないんでしょうか?

認知を介さない場合のストレス反応についてのラザルスの研究は
見受けられない気がします(そういう研究もしてるかもしれませんが・・)。

それと、ラザルス以降に、ストレス反応の個人差を説明するにあたって
認知の重要性が認識されてきたことは間違いないことだと思いますが、
ラザルス以前の、「出来事が直接的にストレス反応を引き起こす」
いった理論が全く否定されたわけではないと思います。
個人的には認知を介さないようなストレッサーがストレス反応を引き起こすということは十分に考えられると思います。


○2つめのご質問に関して、
ラザルスを引用した研究を見ると、個人的な要因には、年齢、性別、既往歴・身体的健康、社会的スキル、自尊心、その他パーソナリティが含まれるとありました。
ただラザルス本人が個人的要因として、年齢、仕事、既往歴・身体的健康
を挙げているかどうかはわかりかねます。

答えになっていなかったらすみません。

お返事有難うございました。ご指摘の通り、1つ目の「ストレス評価に影響」というのは、「ストレス反応に影響」という意味です。例えば心身症のような現象は、本人にはストレスの認知が無いのに身体に変化が起こっていたり、逆に病気を患っていて、これ位の症状は何ともないと本人が思っていても、実は客観的にはイライラしているように見えたりする事があると思うのですが、そういう場合は、無意識の認知的評価でストレス反応を起こしているという事でしょうか。認知的評価は無意識下で起こっても、対処は意識した努力なので、次第にひずみが出てくるのでしょうか。
2つ目の質問に関しても、Lazarusの訳本を読んでいると用語の定義があいまいで、良く解らなかったものですから、質問させて頂きました。小杉さんや本明さんなどの本も読みましたが、主要概念の説明が殆どなので、何か、良い参考書をご紹介頂ければ幸いです。

>無意識の認知的評価でストレス反応を起こしているという事でしょうか。

「無意識」の認知的評価と言えるかわかりませんが(認知的評価は意識的なものだと考えていたので矛盾した言い方に聞えるのですが)、
身体的健康が損なわれていると、思い通りに体が動かなかったり
痛みに気がとらわれて集中できない(コントロール可能性の認知が低くなる=認知的評価)となった場合にイライラするといったことはあり得ると思います。
このような場合は「無意識的に」認知的評価を行っていると言った方が、まだ断定的でなく無難な表現だと思います。それでも少し違和感がありますが・・


積極的な問題解決コーピングを選ぶか、回避的なコーピングを選ぶか、
解決先送り的なコーピングを選ぶのかによってストレス反応が異なってくるのはラザルス以降の研究でも明らかなようですが、
いずれにしてもコーピングを行うのは認知的評価をしているからではないでしょうか?
少なくともラザルスはそのようなプロセス(先行条件⇒認知的評価⇒コーピング⇒ストレス反応)を想定していると思います。

ラザルスのコーピングの定義からすると、ストレスコーピングを行うのは、個人の資源を超えた(と認知された)要請を処理するため、と言いかえれます。
なので、彼の定義に従えば、症状が大したことはない=資源を超えていないと認知された場合はコーピングをしないと考えられます。

大したことではないと認知的評価をしても"実はわずらわしい"と無意識的に思っている、そういうことならコーピングすべきなのにコーピングせず、症状から来る不快な感情などを処理できずストレス反応を引き起こす、と解釈できるかもしれません。


心身症の場合も、病前性格として、ストレス体験をうまく言語化できないことが指摘されていますが、
これは、認知的評価をしていないから言語化できないというものではない気がします。症状が大したことではないと考えているということは認知的評価をしていると言えるので・・
どちらかと言うと、認知的にコーピングしないことが原因なのではと個人的には感じます。
つまり、
    大したことないという認知的評価⇒認知的にコーピングしない(けれども実は大したことではないわけではなく煩わしい)⇒ストレス反応
のような図式です。


おそらく個人的要因には何が含まれると"ラザルスが言っているか"が関心事なんですね。はっきり言えませんが、ラザルスの原文も個人的要因の定義は曖昧なのかもしれません。もしそうだとしたら深く研究していないのかもしれません。深く研究していないとしたら、個人的要因を検討した後の研究の方が参考になるかと思うのですが・・

はっきり言えるのは、ラザルスが、セルフエフィカシー(自己効力感)は認知的評価に影響すると述べてることです。セルフエフィカシーは個人的要因に含まれると考えるのは一般的です。

どうしても"ラザルスが"個人的要因に何を含んでいるかを知りたいのであれば、原文を見せてもらうことはできますか?
もしくは加藤さんなどの論文を見てはいかがでしょうか?


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