無条件の肯定的配慮
無条件の肯定的関心とは?
無条件の肯定的配慮と訳されることもあります。 無条件の肯定的関心とは、ロジャーズが創始したクライエント中心療法の考え方です。 ロジャーズのクライエント中心療法では、クライエントは自ら自己実現に向かう傾向を持っており、 カウンセラーが行うことは、無条件の肯定的関心、共感的理解、自己一致の3つのことだけだとされます。
無条件の肯定的関心とは、クライエントが自己実現に向かうための条件の1つなのです。
なぜ無条件の肯定的関心が必要なのか?
無条件の肯定的関心はなぜクライエントが自己実現を発揮するために必要なんでしょうか?
それは、クライエントが自分の経験したことをありのままに受容することができていない、という考えが前提にあります。
クライエントは、小さい頃から、ある行動は親から「良い子だね」と肯定的に扱われ、ある行動は「そんなことしてろくな大人にならないよ」と否定的に扱われて育ちます。
そして、自分の内面に価値観ができあがり、「こんなことを考えてはいけない」「こんな感情は自分は持っていないんだ」と考え、否定されてきた行動や考えや感情は歪曲されます。
この状態は、自分が経験していることと自己概念が一致していない状態です(自己不一致)。 自分はやさしい人間だと思っているが、実際はある人に憎しみを抱いている・・・・ このような状態では、クライエントは成長に向かう自己実現傾向が発揮できません。
そこで、カウンセラーは、クライエントが実際に経験していることや感じていることをありのままに肯定的に受容することによって、クライエントが自分の経験をありのままに受け入れられるようにします。
無条件の肯定的関心(方法)
無条件の肯定的関心を一言でいうと、クライエントが話していることや表す感情を無条件で、価値判断することなく中立的に関心を向けることです。
例えば、カウンセリング場面で、クライエントが「怒り」「憎しみ」「悲しみ」を表現している場合、その感情に対して、
「そんなことで怒ってはいけません」
「自分がだめな人間なんて考えるのは良くない」
「みんな悲しいことの一つや二つあるんだからクヨクヨしない」
などと、価値判断をしないことです。
重要キーワード:クライアント中心療法、無条件の肯定的配慮、受容、共感的理解、必要十分条件、ロジャーズ、自己実現 |
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