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2013年12月 6日 (金)

ピアジェ認知的発達理論

ピアジェ(Pajet,J)は独自の認知発達理論を提唱しており、発達心理学では非常に有名な人物の一人です。
ピアジェの認知発達理論は基本的知識として押さえて置いておくことをおすすめします。

また、心理系大学院や心理系の学部編入試験の論述問題では、ピアジェの認知発達理論について書かせるものや、ピアジェの発達についての考え方だけでなく、批判点を述べさせる問題なども出るかもしれないので、その点も書いておきます。

またピアジェは専門用語が多いと思いますが、有名な人なので頑張って覚えてください。

Jeanpiaget 

ピアジェの基本哲学(基本的な考え方)

 

○子供の発達は環境との相互作用
  物理的経験(対象そのものから知識を得る)と論理的数学的経験(自分の対象に対する活動から知識を得る)の2つによって発達する。

発達初期(感覚運動期と言います)では物を触って確かめたり、ボールを落としてみたりすることで認知発達が進むと考えられる。

「ボールを落とすと跳ねるんだ」「鍵盤をたたくと音がでるんだ」と自分の行動とその結果のつながりを理解することができます。

Photo_5

○発生論的認識論
 ピアジェの発達理論は、発生的認識論と呼ばれ、スキーマ=シェム=認知は発生するものである、という考え方。

 発生的認識論を言いかえれば、
認知は段階的に徐々に発達していくものではなく、質的に変化する時期(質的転換点)があるという考え方のことである。

同化と調節の均衡化

子供は同化と調節というものを使い、2つのバランスをとって(均衡化)スキーマ=シェムを取得します。
同化assimmilationとは、既に子供が持っているスキーマ(認知的枠組み)によって対象(物)を解釈すること。

同一化の例としては、既に持っている女の人スキーマを使って、新しく出会った近所のおばさんを認知・・・
→「近所のおばさんは女の人だ」と理解できる。

調節accomodationとは、既に子供が持っているスキーマでは対応できない場合に、スキーマを調節すること

調節の例としては、既に持っている「男の人スキーマ」に、新しく出会ったオネエ系の人が合わない場合、女の人スキーマを変化させる。    

→「女の人にはこんな人もいているんだ」とスキーマ=認知を変える。

ピアジェの発達段階

ピアジェは大きく「感覚運動期」「前操作期」「具体的操作期」「形式的操作期」の4つの発達段階を考えています。

4つの発達段階は質的な変化を想定しています。

○感覚運動期

 ―感覚運動によって環境を理解する時期―
反射スキーマのみが存在し、同化と調節で認知発達していく時期
   ・第一次循環反応・・・自分の体を使った繰り返し
       体をくねくねさせる→認知が発達

   ・第二次循環反応・・・物を取り入れた繰り返し
       ボールをころがす→認知が発達

   ・第三次循環反応・・・因果を楽しむ
       ボールに力を入れたらへこむ→認知が発達(力を入れたら形が変わるんだ)  

対象の永続性を獲得

前操作期

 ―象徴的思考段階&直観的思考段階―
・象徴的思考ができる段階である。
例えばそのため母親がいないところで母親の真似をしたり(延滞模倣という)、友達と一緒にごっこ遊びができるようになれば、象徴的思考ができているということになる。

・前操作期はエゴセントリズム(自己中心性)が強い
エゴセントリズムが強いと、人形も自分と同じように命がある(アニミズム)、雨は人間が降らしている(人工論)、 クローゼットに誰がいると考えれば実際に存在するように思う(実念論)、 という現象が見られる。
逆に言うと、アニミズムや人工論、実念論が見られると、まだ自己中心性が強い、と考えられる。

         エゴセントリック    ⇒   アニミズム、人工論、実念論、が生じる

そのほかに、エゴセントリズムが強いと、「三つ山問題」という課題できない。
※三つ山問題・・・かくれんぼで自分からみえてないから他人からも見えてない、と考える現象を見る問題

Photo_6
・操作を持たない
前操作期では、名前の通り、操作ができない
※操作というのは、実際に起こっていないことを頭の中で考えるようなこと。 前操作期の子供は操作ができないため ⇒ 保存概念をもてない ※保存概念とは、水の入ったコップがあり、違うコップに水を移し替えても量は変わらない、というような理解のこと。 
しかし保存課題によって出来具合は異なる(水平的ずれ)

・クラスの包摂関係理解不可(ex車という概念の中にバスがある)

・転導推理・・・・例えば、地震が起こったら火事が起こるという因果関係を、火事が起こったら地震が起こるというような間違った推理を行う。
・前概念・・・・完全に概念を理解できず、概念を混同する     ex犬も猫も4足動物なのでワンワンとよぶ

○具体的操作期  ―具体物なら論理的思考が可能―
・可逆的操作が可能
可逆的操作ができるようになれば、コップに入った水を別の大きなコップに入れ替えたとき、水の量は変わっていないことを理解できるようになる。(保存概念の成立)

・概念の階層化⇒クラス化ともいい、概念の包摂関係を理解できるようになる。

例えば、乗り物の下位概念には車や飛行機があり、車の下位概念にはトラックや乗用車がある(トラックは車で
車はトラック、というような誤りはしない)。

・具体的なものについての論理的思考ができるが、仮説演繹的推論はまだ不可能
※仮説演繹的推論とは、もし~ならという仮説をもとに推論していくこと

○形式的操作期  ―仮説演繹的思考が可能―
「もし~なら、~」 というように実際とは異なることを前提として考えることができるようになる(仮説演繹的推論)。
例えば、もし私がもっと身長が高ければ、もっといろんな景色が見れるのに。

ピアジェ認知発達理論の批判点

 

・ゲルマンの批判・・・・就学前でも具体的操作の能力があることを指摘

・水平的デカラージュ・・・・同じ発達段階でも人によって課題ができる場合とできない場合がある。

・垂直的デカラージュ・・・・ゲルマンの主張のように、現在の発達課題は可能なのに、前の発達課題ができない、などの現象のこと。

・質的転換点への批判・・・・例えば、認知発達は問題解決スキルの連続的増大である。という批判

    量的変化  > 質的転換  なんじゃなか?

のようなピアジェの認知発達理論に対する批判点もいくつか覚えておくとよいでしょう。

引用:遊びと発達の心理学 (精神医学選書)

重要キーワード:ピアジェ、認知的発達理論、感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期、自己中心性、アニミズム、同化・調節・均衡化、シェマ・スキーマ

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