特性論
特性論を学ぶにあたって
特性論は、類型論と同様に性格研究でよく知られる理論です。
しかし、特性論者によってどのような特性があるかは様々です。
なので心理学の学部の編入試験や心理系大学院を受験するにあたっては、全ての特性を覚える必要はないと思います。
むしろ、「特性論とは何なのか」「類型論とはどう違うのか」
「なぜ特性論が発展してきたか」
「現在、特性論はどう考えられているのか」を知ることが重要です。
○特性論とは?
類型論とは反対ともいえる立場にあるのが「特性論」です。
特性論では、人の性格を単純な要素(=特性)にわけていき、人はその要素の
集合から性格を形成するという立場です。
例えば「陽気さ」「ユーモア」「社交性」「落ち込みやすさ」が特性です。
そして、その特性のどれが高くてどれが低いかによって性格が変わってくる
と考える立場です。
代表的な特性論者には、オルポート、キャッテル、ギルフォード、アイゼンクがいます。
○オルポートの特性論
オルポートは、初期の特性論者の代表的人物です。
彼は性格特性を2つに分けました。つまり、
多くの人が共通して持っている特性=『共通特性』
その個人だけが持っている特異的な特性=『個人特性』です。
○ギルフォードの特性論
ギルフォードは以下の13特性があると主張しています。
特性を測定する方法として作られたYG性格検査(矢田部・ギルフォード性格検査)は、
ギルフォードの特性論が元になっています。
1,抑うつ性
2,回帰性
3,劣等感
4,神経質
5,客観性
6,協調性
7,攻撃性
8,一般的活動性
9,衝動性
10,思考的活動性
11,支配性
12,社会的傾向
13,性度
○キャッテルの特性論
キャッテルは因子分析の統計手法を用いて特性を研究した人物です。
キャッテルは以下の特性が相互作用して人格が形成されると考えました。
・共通特性……他者と共通する人の一般的な特性。
・独自特性……その人固有の特性。
・表面的特性……客観的に観察できる行動・発言・表情などの特性。
・根源的特性……表面的特性の背後にある価値観・遺伝要因・環境要因などの内的な特性。外部からの観察は不可能で因子分析などの統計的手法によって抽出されます。
アイゼンクの特性論
アイゼンクは特性論に分けられることもありますが、実際は、類型論と特性論のハイブリッドのような理論を提唱しています。
アイゼンクは、「ある状況である反応をした」というデータを積み重ねれば、「ある状況である反応をするだろう」となり、さらに「ある状況である反応をする人はこの特性を持っている」
ということが分かり、「この特性とこの特性をもっている人は、内向型(または外交型)」
だと最終的に分けられます。
わかりにくいと思うので例をあげると、
1、「会議で発言をよくする」
「知らない人に話しかける」ことが観察される
↓
2、「公共の場でも自己主張ができるだろう」
「誰でも話しかけられるだろう」と一般化される
↓
3、「社交的」「自己主張的」の特性が強い人だとわかる
↓
4、「外向型」の類型に。
特性論が生まれた経緯
特性論は、類型論と比べて、個人の性格をより複雑に考え、逆にわかりにくいのではないか、ということになりますが、計算技術の発展によって、似た特性を統計的にまとめることができるようになったおかげで、特性論は発展しました。
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