言語相対性仮説
言語相対性仮説
言語相対性仮説とは、サピアとウォーフによって提唱された仮説です。
サピア-ウォーフ仮説とも呼ばれます。
私たちは、考える時に言語を使って考えています。
そのため言語なしでは複雑な思考はできないと考えられます。
そして、言語相対性仮説(サピア-ウォーフ説)では、思考が言語の影響を受けるため、文化圏によって言語が異なれば価値観も異なってくると考えます。
言語相対性仮説の解釈
言語相対性仮説についての解釈は大きく2つに分かれます。
一つは、言語以外での思考が存在することを否定する理論であるという解釈です。
こちらは言語=思考の理論であると言えます。
もう一つは、言語以外の思考の存在を否定する理論ではないという解釈です。
言語相対性仮説に関する実験
言語相対性仮説に従えば、例えば色を表す言葉が赤と青しかなければ、複雑な色は区別しにくいと考えられます。
そこで部族を被験者として色の弁別実験が行われています。
例えば、薄い色と濃い色の2つの色の概念しかない部族に、様々な色を見せて再認させる実験があります。
その結果、色を区別して再認することが可能でした。
ただし、言葉を持っている色の場合には再認がしやすいという結果もあり、これは言語相対性仮説を一部支持していると考えることもできます。
社会階級によって知能が異なる
言語相対性仮説に関連してバーンステイン仮説というものがあります。
これは社会的な階級によって知能が異なるといった仮説です。
バーンステイン仮説では、社会階級によって言語が異なるために思考が異なり、その結果知能の高低が異なってくると考えます。
精密コードと限定コード
バーンステインは、中産階級の子供たちは、精密コードと限定コードを用いると考えました。
一方、労働者階級の子供たちは、限定コードのみを使用するとされます。
精密コードとは、論理的で客観的な言語の使い方です。
例えば、子供が片付けをしないとき、
「はやく片付けなさい!はやく片付けないと出発の時間に間に合わないでしょ」
が精密コードです。
限定コードとは、主観的で権威的な言語の使い方です。
「はやく片付けなさい!私が言っているんだから言うこと聞きなさい」
が限定コードです。
ちなみバーンステイン仮説は、社会的階級の差をさらに強めてしまう、と批判されています。
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