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2015年8月23日 (日)

言語相対性仮説

言語相対性仮説

言語相対性仮説とは、サピアとウォーフによって提唱された仮説です。
サピア-ウォーフ仮説とも呼ばれます。

私たちは、考える時に言語を使って考えています。
そのため言語なしでは複雑な思考はできないと考えられます。

そして、言語相対性仮説(サピア-ウォーフ説)では、思考が言語の影響を受けるため、文化圏によって言語が異なれば価値観も異なってくると考えます。

言語相対性仮説の解釈

言語相対性仮説についての解釈は大きく2つに分かれます。

一つは、言語以外での思考が存在することを否定する理論であるという解釈です。
こちらは言語=思考の理論であると言えます。
もう一つは、言語以外の思考の存在を否定する理論ではないという解釈です。

言語相対性仮説に関する実験

言語相対性仮説に従えば、例えば色を表す言葉が赤と青しかなければ、複雑な色は区別しにくいと考えられます。

そこで部族を被験者として色の弁別実験が行われています。
例えば、薄い色と濃い色の2つの色の概念しかない部族に、様々な色を見せて再認させる実験があります。
その結果、色を区別して再認することが可能でした。

ただし、言葉を持っている色の場合には再認がしやすいという結果もあり、これは言語相対性仮説を一部支持していると考えることもできます。

社会階級によって知能が異なる

言語相対性仮説に関連してバーンステイン仮説というものがあります。
これは社会的な階級によって知能が異なるといった仮説です。

バーンステイン仮説では、社会階級によって言語が異なるために思考が異なり、その結果知能の高低が異なってくると考えます。

精密コードと限定コード

バーンステインは、中産階級の子供たちは、精密コードと限定コードを用いると考えました。
一方、労働者階級の子供たちは、限定コードのみを使用するとされます。

精密コードとは、論理的で客観的な言語の使い方です。
例えば、子供が片付けをしないとき、
「はやく片付けなさい!はやく片付けないと出発の時間に間に合わないでしょ」
が精密コードです。

限定コードとは、主観的で権威的な言語の使い方です。
「はやく片付けなさい!私が言っているんだから言うこと聞きなさい」
が限定コードです。


ちなみバーンステイン仮説は、社会的階級の差をさらに強めてしまう、と批判されています。

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選択的注意

選択的注意とは

選択的注意とは、様々な刺激の中から一部の刺激だけに注意を向けることです。

例えば、うるさい場所でも話し相手の声だけ聞き取ることができたり、
パチンコ屋さんで自分の台の音だけ聞きとることができたりするのは選択的注意です。

うるさいパーティーで話ができるようなカクテルパーティ効果は選択的注意の代表的な現象です。

両耳分離聴の実験

○両耳分離聴の実験方法

チェリーは選択的注意に関する実験を行っています。
チェリーの実験では左右別のメッセージをヘッドフォンで流し、聞こえたメッセージを
追唱させる実験を行っています。

○両耳分離聴実験の結果

左右両方の耳から入った情報は同時に聞き取れません。
しかし、左右どちらかの耳から入った情報を聞きとるように指示すると、
追唱することができます。
これは、たくさんの情報の中から選択的に注意を向けることができることを
示しています。

チェリーの実験の重要な点は、追唱しない方の耳にブザーを聞かせたことでした。
結果、片耳からの追唱ができるだけではなく、反対の耳からのブザー音に気づくことができました。

このことから何がわかったのでしょうか?

注意を向けられなかった方の耳からの情報も、
意味処理ができなくても、物理的な変化に気づくことができるということです。

このチェリーの実験結果から新たにモデルが提唱されています。
その一つがブロードベントによるフィルターモデルです。

記憶のフィルターモデル

両耳分離聴の実験では、注意を向けられなかった耳からの刺激の変化に気づくことができました。

ブロードベントはチェリーの両耳分離聴の実験をもとに、記憶のフィルターモデルを提唱しています。

ブロードベントのフィルターモデルは、選択的注意を記憶のモデルに取り入れたものです。

ブロードベントはチェリーの実験結果をもとに、
「感覚器官から入ってきた情報が、選択的注意を向けられることによって短期・長期記憶へ移行する」ことをモデル化しました。

感覚器官に入ってきた情報はすべて物理的に処理され、
その中から選択的注意を向けられた情報が記憶(短期・長期記憶)に残ります。

逆に言えば、入力された全ての刺激は物理的に処理されているが、
注意を向けられなかった刺激は意味処理されず、短期記憶や長期記憶に残りません。

後期選択説

その後の両耳分離聴を用いた研究では、追従しない方からの情報に自分の名前が含まれている場合には、 気づくことができることがわかっています。
これは、初期に意味処理する情報が選択される(初期選択説)わけではなく、
すべての情報が初期に意味処理されていて後にその中から情報を選択している(後期選択説)可能性があるということです。

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