選択的注意
選択的注意とは
選択的注意とは、様々な刺激の中から一部の刺激だけに注意を向けることです。
例えば、うるさい場所でも話し相手の声だけ聞き取ることができたり、
パチンコ屋さんで自分の台の音だけ聞きとることができたりするのは選択的注意です。
うるさいパーティーで話ができるようなカクテルパーティ効果は選択的注意の代表的な現象です。
両耳分離聴の実験
○両耳分離聴の実験方法
チェリーは選択的注意に関する実験を行っています。
チェリーの実験では左右別のメッセージをヘッドフォンで流し、聞こえたメッセージを
追唱させる実験を行っています。
○両耳分離聴実験の結果
左右両方の耳から入った情報は同時に聞き取れません。
しかし、左右どちらかの耳から入った情報を聞きとるように指示すると、
追唱することができます。
これは、たくさんの情報の中から選択的に注意を向けることができることを
示しています。
チェリーの実験の重要な点は、追唱しない方の耳にブザーを聞かせたことでした。
結果、片耳からの追唱ができるだけではなく、反対の耳からのブザー音に気づくことができました。
このことから何がわかったのでしょうか?
注意を向けられなかった方の耳からの情報も、
意味処理ができなくても、物理的な変化に気づくことができるということです。
このチェリーの実験結果から新たにモデルが提唱されています。
その一つがブロードベントによるフィルターモデルです。
記憶のフィルターモデル
両耳分離聴の実験では、注意を向けられなかった耳からの刺激の変化に気づくことができました。
ブロードベントはチェリーの両耳分離聴の実験をもとに、記憶のフィルターモデルを提唱しています。
ブロードベントのフィルターモデルは、選択的注意を記憶のモデルに取り入れたものです。
ブロードベントはチェリーの実験結果をもとに、
「感覚器官から入ってきた情報が、選択的注意を向けられることによって短期・長期記憶へ移行する」ことをモデル化しました。
感覚器官に入ってきた情報はすべて物理的に処理され、
その中から選択的注意を向けられた情報が記憶(短期・長期記憶)に残ります。
逆に言えば、入力された全ての刺激は物理的に処理されているが、
注意を向けられなかった刺激は意味処理されず、短期記憶や長期記憶に残りません。
後期選択説
その後の両耳分離聴を用いた研究では、追従しない方からの情報に自分の名前が含まれている場合には、
気づくことができることがわかっています。
これは、初期に意味処理する情報が選択される(初期選択説)わけではなく、
すべての情報が初期に意味処理されていて後にその中から情報を選択している(後期選択説)可能性があるということです。
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