カテゴリー「精神分析学」の8件の記事

2013年10月26日 (土)

防衛機制

防衛機制とは?

ここで、精神分析でも重要な防衛機制について書きたい思います。 非常に有名なので覚えてください。 防衛機制とは、自我によって行われる、心の苦痛の予感から身を守るための働きです。 フロイトだけでなく娘のアンナフロイトも自我の防衛機制を研究したことで知られています。 よく知られている防衛機制を紹介します。

○抑圧

フロイトが着想した最も重要といえる防衛機制。 不安や苦悩の原因となる欲求や感情を無意識の中に取り込むこと。 精神分析では、この無意識に取り込まれたものを意識化する作業を行う。

○投影

抑圧された欲求や感情を他人が持っていると思い込むこと。 例えば、ケーキを食べたいと思っているが卑しいと考えて抑圧した人が、 他人がケーキを食べたがっていると思い込むことが投影の例。

○同一化

自分が、ある対象と似てくるようになること。 例えば、絶対的に強い父親と自分が同じであると思いこんだり、尊敬している先輩のしゃべり方をしらない間 に真似しているような現象が同一化の例。

○反動形成

ある欲求が実際に行動として現れないように、正反対の行動をすること。

反動形成のよくある例が、好きな子に嫌なことをする小学生である。また自分の子供に対して憎しみを抱いている母親が、その感情を表現する手段として子供に対して過保護になり面倒をみる、なども反動形成の例。

○退行

今の状況では、欲求が満たされない場合に、早期の発達段階に戻って子供っぽくなることで、欲求を満たそうとするのが退行。 例えば、一人っ子だった子供に兄弟ができて、親に甘えれなくなったとき、おねしょをしたり、だだをこねることによって、親にかまってもらおうとするのも退行の例である。

○否認

否認とは、不安を引き起こす要素の存在を認めないこと。否認するのは感情の場合もあれば出来事の場合もある。

例えば、ある男性が不治の病だと宣告されたが、病気であることを認めないのは否認の例。

○合理化

自分の失敗や、願望が満たされないときに、何らかの理由づけをして自分を納得させるのが合理化。 高いところにあってブドウがとれないときに、あのブドウはすっぱいんだ!と理由づけるのは合理化の有名な例である(イソップ童話から由来している)。

○昇華

直接表現すると望ましくないことや不都合な欲求などを他の社会的に認められる形で発散すること。 例えば、暴力的衝動があるけども暴力をふるうと怒られる場合に、ボクシングや格闘ゲームなどで代わりに暴力衝動を満たすのが昇華の例。

○知性化

抑圧された欲求や感情を知的に客観化すること。 例えば、自分の病気が心配な人が医学書を読みあさって安心するなどが知性化の例。

○置き換え

置き換えとは、受け入れられなかったり危険であったりする衝動や欲求が抑圧され、それがより安全な対象に向けられる防衛機制。

例えば、上司に叱られて職場ではイライラしていない人でも、家に帰ると子供や妻や物に当たるのが置き換えの例

 

引用:臨床心理学入門―理解と関わりを深める

重要キーワード:防衛機制、自我防衛、フロイト、抑圧、投影、退行、反動形成、同一化、否認、知性化、昇華、置き換え

 

2013年7月24日 (水)

精神分析における幼児期健忘

幼児期健忘とは

幼児期健忘とは、3歳くらいまでの記憶がない現象のことを指す。

幼児期健忘の精神分析的解釈

この普遍的にみられる現象についてはいくつかの解釈があるが、精神分析ではこの現象を抑圧で説明する。

つまり3歳ごろまでの記憶がない理由は、エディプスコンプレックスの抑圧によるものであると考えるわけである。

逆に3歳以前の記憶がない現象=幼児期健忘を、エディプスコンプレックスの根拠と考えることもできる。

2013年7月17日 (水)

失策行為

失策行為

失策行為または錯誤行為とは、無意識の欲求が、発言や行動となってうっかりあらわれるという現象のことである。

失策行為の代表的な例は、「これから式を開会します」というべきところを「これから閉会します」といってしまうような現象である。

つまり無意識では式がすぐに終わればいい、と思っている場合に、その欲求がうっかり発言として出てしまったということである。

フロイトはこのような「うっかり無意識の内容が発言や行動となってでてくる」失策行為が無意識が存在する根拠と考えています。

精神分析における抑圧

精神分析を確立したフロイトは、抑圧という考え方を提唱しています。

人は「~したいけどできない」、「~したいけどしてはいけないことだ」と考えるときに防衛機制というメカニズムを働かせるとフロイトは言います。

たとえば、高い所にぶどうがあるが高すぎてブドウがとれない・・・そんな時は「どうせあのブドウはすっぱいからいらない」と考えるような現象が防衛機制の例です。これは合理化という防衛機制の例として知られています。

抑圧はその防衛機制の代表です。

フロイトによると、人は行動にうつしてはいけない欲求や望ましくない欲求は、抑え込んで無意識に追いやろうとします。これが抑圧です。

このように現実世界では受け入れられないことを無意識に抑圧することによって、現実に適応しようとします。

自我はこのようにイドの欲求(~したい)と超自我による要求(すべき、すべきでない)との折り合いをつけて現実に適応しようとする働きを持ちます。

精神分析を一言で言うと、この抑圧された無意識の内容を意識にひっぱり出そうとする心理療法です。

2012年12月29日 (土)

自由連想法の始まり

○自由連想法

カウチソファーに患者を座らせ、頭に浮かんできたものを自由に話してもらう方法である。話された内容をセラピストが解釈をして、患者の過去(=エディプスコンプレックス)を探り、患者に解釈を投与する。解釈を与えられた患者は、自分についての洞察を得ることによって神経症症状が治ると考えられる。 フロイトは、過去のことを抑圧して言語化できないことが、行動化や症状化につながるとかんがえたため、言語化できることを重視した。また抑圧した内容のによって行動となって現れることをアクティングアウトという。

○フロイトの自由連想法の始まり

(カタルシス)。 ↓ フロイトはこのカタルシス療法を応用。 ↓ はじめ、フロイトは催眠によるカタルシス療法を行っていた。 ↓ 催眠術のベルネームやシャルコーによる後催眠暗示・行動から、フロイトは、無意識の存在とその意識への影響を確信。(フロイトのもっとも偉大な業績は無意識の発見といわれる) ↓ 催眠は個人差があり、持続性がない。 そのためフロイトは額に手を乗せ、思い浮かんだことを言ってもらい、解釈を連想中に患者に与える治療法を行う(=前額法(前額圧迫集中法))。 ↓ 自由連想法を開発 前額法から連想中の介入をなくしたもの。前額法では、患者が自由に話すことができない、ということを受けて、フロイトは自由連想法に発展させた。

2012年12月21日 (金)

フロイトのエディプスコンプレックス

エディプスコンプレックス

フロイトはエディプスコンプレックスという精神分析の主要な概念を提唱しています。
エディプスコンプレックスとは、フロイトいわく、幼児期に生じる葛藤を抑圧したもので、神経症のもとになるものです。これだけではよくわからないと思うので詳しく説明します。

Freud

フロイトは独自の発達理論を提唱しているわけですが、その前提としてリビドーという概念が存在すると言ってます。

リビドーとは広い意味の性欲と考えて構わないと思います。

発達していくにつれ、そのリビドーは、母親を独占してライバルである父親を排除したいと考える、という形で現れます。しかしその考えは実行できずに父親に去勢されると子供は考え、その欲求を抑圧して父親と同一視します。父親と同じように自分も強いと思って、父親の考えや規範を取り入れようとします。この同一視によって子供は超自我を獲得します。

これがフロイトの発達理論ですが、エディプス期にリビドーを解消、つまり欲求を満たせなかったら、その時期に固着します。すると様々な神経症として現れてきます。

要約すると、各発達段階で欲求を満たしきれなかったら、その時期に退行して、欲求を満たそうと試みる、この現象が神経症なわけです。

フロイトの失錯行為

フロイトの精神分析でいう失錯行為とは、無意識に考えていることがうっかり行為に表れてしまうことです。
例えば、会議が早く終わって欲しいと思ってる人が会議を始めるときに「これより会議を終了」と言ってしまう、などです。こういうのはフロイトの精神分析によると自我による検閲を通り抜けてイドの欲求がうっかり出てきたと解釈されます。

フロイトの心的構造論

心的構造論


フロイトは心の構造には、イド、自我、超自我の3つの構造があると仮定しました。これは心的構造論と言われます。

イド


イドとは欲求と言い換えてもいいと思います。

自我


自我とはイドの欲求を現実的な形で満たす構造です。イドと超自我の要求に答えなければなりません。

超自我


超自我とは道徳観ともいいかえられると思います。自我に命令を出します。例えば、そんな非道徳的なこと考えてはいけない、など


フロイトはこの3つの構造で心を捉え、様々な精神疾患を説明してます。 どう説明したかはまた書こうと思います。

引用:臨床心理学入門―理解と関わりを深める
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